アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は新年度を前に、新社会人としての心掛けについてスマナサーラ長老にお話いただきます。


[Q]

    今年から就職して社会人になるのですが、新入社員になるにあたって「これは心がけた方がいい、気をつけた方がいい」という事があれば教えていただきたいです。大学時代にはあまり勉強に頑張り切れなかったと少し悔いがあるので、そういう経緯も含めて、これからどうしたらいいのか、ということを教えて欲しいです。
 
[A]

■過去の荷物を下ろして生きる

    人生では、過去の荷物を背負って生きていても上手くいかないことがあります。大学でこういう勉強をしたとか、小さい時からこんな仕事をしたかったとか、私たちは過去の荷物を背負っている場合があります。そうすると先に進めなくなってしまうのです。専門的な勉強をした人によくある現象で、専門分野から外れると全く仕事ができなくなる。ですから、私たちは過去の荷物を下ろして生きてみた方が良いと思います。

■いつでも「おもしろい」という気持ちで

    ポイントは、いつでも「おもしろい」という気持ちを持ってください。いつでも新しい状況や環境に挑戦できるように心の準備をしておいてください。マンネリにならないように気をつけてください。ワンパターンにならないように注意してください。そのために興味を持つ、「おもしろい」という気持ちを宝物のように大事に持っていてください。そうすると、その「おもしろい」という気持ちが私たちに物事を教えてくれるのです。
    経験であろうが、知識であろうが、能力であろうが、どちらにしても「おもしろい」と思わなければ育ちません。おもしろいと思えれば簡単に物事を学ぶ事ができます。ですから、あなたにとって宝物はこの「おもしろい」という気持ちなのです。いつでも興味を持つ。「おもしろくない」という気持ちが出てきたら、「いやいや、これはおもしろい」と無理やりにでも気持ちを入れ替えてみてくさい。
    つまらないことを頼まれて「こんなことやりたくない」という気持ちになったらアウトです。やりたくない面倒臭い仕事を頼まれたとしても、「よし、やってやろうじゃないか」と思う。実際に仕事をやってみると得るものはあるはずです。おもしろくなってくると思います。おもしろさを感じることを大事にしてください。それで全部解決できます。

■自分で興味を持って道を切り開く

    経験のある先輩たちが「この人なら何を頼んでもしっかりやってくれるから大丈夫だ」「ごちゃごちゃ言わなくても自分で気づいてやる」と、信頼してくれるようにもなります。例えば、手取り足取り教えてもらってきちんと訓練も受けた。でも言われたことしかやらない。そうすると教えた通りにしか動けなくなるでしょう?    つまり荷物を背負っていることになるのです。失敗もします。
    そうでは無く、興味を持って「どうすれば上手くいくか?」「どうすればいいか?」と自分で道を切り開いていくと失敗は少なくなります……と言いますか、失敗したとしてもそれも勉強になってしまうのです。
    ということで、死ぬまで明るく生きるためには、この「おもしろい」という気持ちを大事な宝物として無くさないようにすることです。それで大丈夫だと思います。脳も同じように、おもしろいと興味を感じたら追いかけていく、活動するのです。おもしろくないと感じたら、退化して眠くなるのです。脳が元気だったら体も元気になる。老いることが遅くなります。若い人は脳が活発になるように試してみてください。これも訓練です。頑張ってみてください。


■出典     『それならブッダにきいてみよう:ライフハック編』

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