私が大事にしたのは、幼稚園で教えてもらった常識のほうだった。私は、外側に出て人の話を拾ってあるく人間だ。生身の人間の、世俗のさもない声が、聖職者よりまっとうに聞こえることもあるのだ。


佐々涼子(ノンフィクション作家)
(サンガジャパンVol.30 「オウム以外の人々」)
※肩書は掲載時