アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「"WHAT CAN I DO?" 私に何ができるのか?」です。

[Q]

    以前うかがったご法話の中で、「What can I do?」と常に考えるというお話がありました。仕事をしている時に常に意識するようにしているのですが、何ができるのかすぐに浮かばず右往左往してしまう時があります。どのような努力をすれば、何ができるか素早く思い浮かぶことができるでしょうか?
 
[A]

■それは必ず目の前にあります

    考え過ぎです。常に私たちは「What can I do?(私に何ができるのか?)」ということを呪文のように頭に入れて欲しいのです。この呪文は役に立つものですから。
    でも大袈裟なことではありません。〝この瞬間に何ができるのか?〟ということですから。少し先まで考えてあれこれと妄想したりすると、右往左往することになってしまいます。私でも、「この先五年間で何ができるのか?」と考えると、頭が混乱して何もできなくなってしまいます。
    今私が考えるのは、「この質問にどのように答えればいいのか?」ということだけです。その次はわかりません。だって、倒れてしまうかもしれませんよ。そうなると答えられなくなってしまいます。ですからその次の質問まで準備していても無駄です。
    つまりこれは〝今の瞬間で何ができるのか?〟ということなので、すぐに見えてきます。今やるべきことは必ず目の前にあるのですから。大袈裟なことではなく、いたって簡単です。例えば、目の前のペットボトルを倒してしまったら、そのペットボトルを起こすだけ。そんなにすごいことではありません。難しいことですか?
    仕事中に隣の人のファイルが床に落ちたら、それを拾って「はい、どうぞ」と渡す。それだけのことです。人生は簡単過ぎです。妄想しているから生きていられなくなっているのです。今のことに集中して生活するならば、生きることほど簡単なことはないのです。


■出典      『それならブッダにきいてみよう:こころ編2』

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