アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「対立してしまった時の解決法」です。


[Q]

   人と人の対立をどのように解決していけばいいのでしょうか?    例えば、ある組織で部下と上司の方針が合わないといったことを、単なる妥協では無く、解決するにはどうすればいいのでしょうか?
 
[A]

■「我は正しい」という見解がぶつかりあう

    理性的に考えてみましょう。世の中には一人として同じ人間はいません。皆それぞれで、様々なのです。それだけです。「みんな互いに異なるものだ」というところで落ち着きましょう。相手の違うところを直してあげる必要はありません。違う意見を持っていても、それが性格になっているのですから、それを人が認めようが、否定しようが、そんなことはどうでもいいのです。
    「人はそれぞれ違う」ということを理解しておけば、人間の対立関係という問題は何とかなります。でも「対立」自体は無くなりません。対立が問題になって困るのは、「我は正しい」という見解同士がぶつかるからです。ブッダの教えを知っている人ならば、対立するような場面に立ち会っても「我は正しい」という態度は取りません。「これは私の意見です」と明言して終わるだけです。
    人間のことをよく観察してみてください。上司のことも観察してみてください。みんな「我は正しい」という態度を取っているから苦しんでいるのだ、と見えてきます。

■個人差を見事に活かす仏教の世界

    もしも「我は正しい」という問題が無くなったとしても対立・違いというものは残ります。
    例えば、お釈迦様の弟子たちはみな性格が違いました。しかし、自我の無い世界ですから対立問題は起きませんでした。この問題についてはサーリプッタ尊者に聞きましょう、これはモッガラーナ尊者に尋ねた方がいい、サンガで問題が起きたらアーナンダ尊者に相談しましょう……そうやってそれぞれの能力に応じて仕事をしてもらったのです。

■違いを理解した上で仲良くすること

    一般の社会ではそこがなかなか上手くは行きませんね。俗世間ですから仕方ありません。この仕事は○○さんに頼んだ方がいい、ということにはならずに「これはオレがやる」と自我を張って間違えるのです。全てが上手くはできないでしょう。下手くそで時間もかかる。それでははた迷惑です。「上手な人に任せると自分の立場が無くなるのではないか」という自我が割り込んでくる。そういう問題がずっとあるのです。例えば政治家は、みんな自分が総理大臣になりたいと思っていたりする。でも総理大臣になれたとしても、その職務を果たせるのかということは別の話です。
    全ての生命は互いに違います。夫婦であっても親子であっても別の人格です。似ていません。そのことを理解した上で仲良くするのです。相手に自分の考えに押し付け、洗脳するものではありません。そういう気持ちを理解して頑張ってみてください。


■出典     『それならブッダにきいてみよう:人間関係編』 

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