【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】
皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「ラーフラはお釈迦様をどう思っていたのでしょうか?」という質問にスマナサーラ長老が答えます。
[Q]
お釈迦様が出家前にヤソーダラ夫人との間にもうけた実子ラーフラ。偉大なる父をもったラーフラは、お釈迦様をどう思っていたのでしょう?
[A]
幼いころ、ラーフラは父親を見たことがありませんでした。ヤソーダラ夫人の言葉で父親像を作っていました。「あなたの父親は、すごい人物です。王位も捨てて真理を発見するために旅に出た勇気あるお方です」「いろいろな苦行をしたり、たいへんなことをやっています」「人間にできることではありません」と、ヤソーダラ夫人はものすごく父親を称えて、ラーフラを育てたのです。
お釈迦様が出家してブッダになって、一年か二年ぐらい経ったところでカピラヴァストゥの家に戻りました。そのときも、スッドーダナ王は盛大な祭りを行なって息子を迎えましたが、その大パレードを宮殿の上から見ながら、ヤソーダラ夫人はラーフラに「あの方こそあなたの父親ですよ、ご覧なさい、どれほど偉大なる人か」と教えました。
この出来事はのちに経典の形で詩を作って語られるようになりました。しかし経典ではありません。作品です。この作品の偈ひとつひとつの終わりの行は、「あなたの父親はこのような人間の獅子である」というフレーズで終わるのです。ラーフラ尊者は父親のことを誇りに思っていたに違いありません。
■出典 『ブッダの質問箱』