アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「常に気づきを入れて生活するということ」についてです。

[Q]

    瞑想実践は「なるべく気づくように努力している」というレベルなのですが、いまの生活では朝起きてから、会社で仕事をして、家に帰って眠りにつくまで、常に気づきを入れて生活するということはまったく想像がつかなくて、あり得ないと感じます。あまりに道が遠いというか、一生懸けてやっても、少しも近づけないかも?    と思ってしまうほど打ちのめされています。どうしたらいいでしょうか?

[A]

■「別世界に気づく」という智慧


    あなたはただ「あぁ、別世界だな」と俗世間と出世間の差を感じただけです。それは智慧なのです。落ち込む必要はありません。あなたに、あるひとつの智慧が現れたのです。
    例えば朝起きて、会社に行って仕事をして云々というのは、現象・幻覚の世界でしょう。求める世界です。仏道は、求めない訓練をする世界ですから、これは噛み合わない。それがわかったのです。だから、それは実践不可能ということではなく、それぞれは別な世界であると理解して、会社に行って仕事をすればいいのです。しかし仕事をしていても、「物事は流れるのだ。こんな仕事のことで悩まないぞ」と心を決めて、あなた自身で気づく方法(観察の仕方)を発見しなくてはいけません。
    俗世間と出世間が別世界であるという事実に衝撃を受けた人々は、お釈迦様の時代にもいました。ショックは受けていいのですが、精神的に落ち込む必要はありません。心配しないでください。方法はいつでもあります。例えば仕事であっても無執着でやってみればとても面白いのですよ。何にもとらわれないで、ただ流れていく、という感じで仕事をしてみる。物事は流れていく、私も流れていく。そうやって観察するならば、例え仕事をしていてもつねに安穏にいられます。


■出典     それならブッダにきいてみよう: 瞑想実践編3 | アルボムッレ・スマナサーラ | 仏教 | Kindleストア | Amazon

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