「日日是好日」という言葉をテーマにした「バッデーカラッタ・ガーター(Bhaddekaratta gāthā)」について詳しく解説した経典が、中部経典に4編収録されています。「日日是好日」偈の真髄を理解できるよう、スマナサーラ長老にこれらの解説を多面的に読み解いていただきます。
第4回 「日日是好日」偈 お釈迦様の解説 ②未来に期待するなかれ
■未来に期待するとは?
過去の次は未来についての解説になります。
●お釈迦様の解説
Kathañca, bhikkhave, anāgataṃ paṭikaṅkhati?
比丘達よ、未来に期待する、とはどんな意味でしょうか?
Evaṃrūpo siyaṃ anāgatamaddhāna’nti tattha nandiṃ samanvāneti.
「将来、私にはこのような身体(色)があるだろう」と思い、それに執着をする。
よくあるダイエットの話を例にとりましょう。動くのも大変なくらい体重のある人が、テレビコマーシャルなどを見て、「Sサイズのスカートをはきたい」とか「二十歳頃に着ていた服をまた着たい」などと思ってダイエットを思い立ったとします。あるダイエット飲料を知って「これを飲んだら、1週間で10キロ減る!」などと考えます。実際にその商品で痩せた人の広告や宣伝するモデルさんなどを見て、「私もなるぞ」と思ったりするのです。実際、そんなふうになるはずはないのですが。
こうしたことは、「将来、私はこんな姿になるだろう、こんな身体になるだろう」と思って、それに執着すること、つまり将来の肉体に関する執着です。子どもは、「自分は将来、こんなふうになる」と思ったりして執着します。私のような高齢になってくると、将来のことを考えるのが嫌になってきます。将来はもっとシワが出るだろう、髪の毛は全部、抜けてしまうだろう、歯も抜けてしまうだろう、手足が動かなくなるだろう、将来は杖やシルバーカーを使うはめになるだろう、などなど、嫌なことばかりです。そうやって思い悩むことも執着です。