2017年にサンガより刊行したアルボムッレ・スマナサーラ長老と前野隆司先生の対談書『仏教と科学が発見した「幸せの法則」』を、サンガ新社より2024年3月に電子書籍でも刊行しました。

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『仏教と科学が発見した「幸せの法則」:「心」と「私」のメカニズムを解き明かす』アルボムッレ・スマナサーラ/前野隆司[著]


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 2500年前の「ブッダの教え」と最新の「幸福学の研究」が、
「幸せになる」というゴールへ、重なり合いながら突き進む――
人生をダイナミックに変える白熱対談!
 



推薦のことば

幸福についての議論は、時に表面的なものになりがちだ。
ロボット工学、意識の科学、幸福学の知見が、仏教の思想、実践、伝統と響き合う本書は、深い本質の部分での「幸福論」を提供している。
知的好奇心と感情の両方が満足する、稀有な本である。
茂木健一郎

「私」の実存を否定することでヒトは幸せになる――。
本書ではそんな火の玉のように熱い議論が、しかし静謐に展開されます。
そして、読み終えた私の中に新しい自分像が芽生え、なぜか不思議と安堵
するのです。
池谷裕二


前野隆司    「まえがき」より
もともと原始仏教や禅の思想に本質的なものを感じ、スマナサーラ長老や中村元先生や鈴木大拙先生の本を読みあさっていた私にとって、長老との対談は、願ってもない光栄な機会でした。なんて素晴らしい宇宙のインタラクションの一部なのでしょう。そして、本書をお読みいただくとわかりますが、科学と仏教の類似点、相違点が、とても鮮やかに腑に落ちました。長老の説明は明快で、私の誤解も理解も明確になりました。これまで、多くの日本の僧侶の方と対話してきましたが、何か難解で理解できないものが心に残っていました。ところが、長老のお話は、すべてすっきりわかりやすく、心は晴れやかになりました。シンプルな本質を明快に伝える原始仏教の考え方をいまに残している上座部仏教と、年月をかけてインドから中国を経由して日本に入ってくる間に精緻化・複雑化・多様化・理解困難化した大乗仏教の違いを感じました。この本は、私にとって、とても大切な記録となりました。長老、ありがとうございました。心から感謝しています。


アルボムッレ・スマナサーラ    「あとがき」より
あるイメージが湧いてきました。それは『源氏物語』のような長いエピソードが書かれた日本の巻物と、同じエピソードが印刷された分厚い本のイメージです。本の場合は、どこからでも読むことができます。読む前に目次を眺めれば、中身についての概要を掴むこともできます。巻物の場合は、それほど便利ではありません。しかし、巻物には歴史的な価値があります。本ならば読むときに潰れても構いませんが、巻物は大事に使わなくてはいけないのです。
前野先生と、幸福学をテーマにして対談を行ないましたが、結局は両者とも同じことを言っていたので、お互いの背中を掻きあうような結果になりました。要するに、私は先生の研究と活動に大いに感銘を受けたのです。先生も仏教の幸福思考に驚くほど賛成してくれました。科学者の肩書を振りかざして、伝統的に語り続けている私たちのやり方について批判することはなかったのです。そこから浮かんだのが、巻物と本のイメージです。「幸福」という概念を学問的に研究してデータを取って説明すると、誰にでもわかりやすい教えになります。本と同じです。二五〇〇年の伝統を誇る仏教の幸福学を私たちが語るとき、皆、古い巻物を眺めているような気がするに違いありません。


著者プロフィール

アルボムッレ・スマナサーラ(Alubomulle Sumanasara)
テーラワーダ仏教(上座仏教)長老。1945年4月、スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとる。1980年に来日。駒澤大学大学院博士課程を経て、現在は(宗)日本テーラワーダ仏教協会で初期仏教の伝道と瞑想指導に従事している。朝日カルチャーセンター(東京)講師を務めるほか、NHK Eテレ「こころの時代」「スイッチインタビュー」などにも出演。著書に『サンユッタニカーヤ    女神との対話    第一巻』『スッタニパータ「犀の経典」を読む』『ダンマパダ法話全集』『ヴィパッサナー瞑想    図解実践』』『無常の見方』『苦の見方』『無我の見方』『ブッダの実践心理学(アビダンマ講義シリーズ    全8巻)』(藤本晃氏との共著)(以上、サンガ新社)、『怒らないこと』(だいわ文庫)、『心は病気』(KAWADE夢新書)、『ブッダが教える心の仕組み』(誠文堂新光社)、『ブッダの教え一日一話』(PHP文庫)、『70歳から楽になる』(角川新書)、『Freedom from Anger』(米国Wisdom Publications)など多数。

前野隆司(まえの・たかし)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。1962年、山口県生まれ。東京工業大学卒、同大学修士課程修了。キヤノン入社後、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、ハーバード大学客員教授、慶應義塾大学理工学部教授等を経て、2008年より現職。2024年4月より武蔵野大学ウェルビーイング学部長兼任。博士(工学)。研究領域は、幸福学、システムデザイン・マネジメント学、イノベーション教育と幅広い。著書に、『脳はなぜ「心」を作ったのか』(ちくま文庫)、『幸せのメカニズム』(講談社現代新書)、『幸せな職場の経営学』(小学館)、『人生が変わる! 無意識の整え方』、(ワニブックス)、『実践 ポジティブ心理学』(PHP新書)、『実践・脳を活かす幸福学    無意識の力を伸ばす8つの講義』(講談社)、『「幸福学」が明らかにした幸せな人生を送る子どもの育て方』(ディスカバー・トウェンティワン)など多数ある。