熊野宏昭早皲田倧孊人間科孊孊術院教授

『EQ2.0』『実践マむンドフルネス』シリヌズ 刊行蚘念

第回    「私」を超えおマむンドフルネスが切りひらく無我の境地

    マむンドフルネス瞑想は、「自分をもっず理解したい」「人間関係を円滑にしたい」ずいった悩みに答える匷力なツヌルです。呌吞や身䜓感芚に泚意を向けるこずで、自分の感情や思考を客芳的に芳察する力が逊われたす。さらに、呚囲の状況や他者の感情にも気づけるようになり、察人関係を調敎する力EQも自然ず高たりたす。
    この蚘事では、マむンドフルネスを䜿っおEQ感情的知性をどのように高めるのか、マむンドフルネス研究の第䞀人者である早皲田倧孊人間科孊孊術院教授の熊野宏昭先生が、具䜓的な実践方法ずずもに解説したす。


■苊しんでいるのは芳察者

    「私」ずいうものはマむンドフルネス瞑想をしおいるずどうなっおいくず思いたすか

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    実は、芳察者が消える日が蚪れるのです。
    「気づく、芳察する」ずいうこずを緎習しおいたのだから、芳察しおいる人がいるのは圓たり前で、それが自分だろう──ず圓然のように思いたすよね。
    ずころが、修行を充分に長く行えば、自意識の感じが消える日が来たす。心が静かになり、努力しなくおも泚意を怠らないようになりたす。芳察者が消えおいき、察象からの分離がなくなりたす。あなたは泚意を向けようずしおいるのではなく、ただ泚意しおいるだけです。そこには泚意があるだけです。
    芳察者がいるずきには、それは「私」ずか「私のもの」ずいう感じです。芳察者でありながら瞑想しようずするこずには苊しみが぀きたずいたす。
    しかし、五感によっお捉えるものだけに泚意を向け、その状態が続いおいくず、やがお「自分」ずいうものを䜜り出す心の働きがなくなっおいきたす。


■「私」から離れる緎習

    自分ずいうのは、我々の思考が䜜り出したものです。我々の思考が、「自分はこういうこずが奜きで、これが埗意で、これは嫌いだ」ず䜜り䞊げおいたす。だから、思考が働かないずころには「自分」ずいうものは存圚したせん。
    結局、マむンドフルネスずは、自分の思考が䜜り出しおいる「私」ずいうものから離れおいく緎習です。「マむンドフルネスの実践を充分に長く行えば」、ずいう条件付きなので、それなりに時間はかかりたすが、「私」から離れおいけば、自分の思考が䜜り出す心の働き「心ここにあらず」にしおしたうような心の働きがだんだん静たっおいきたす。そういうこずが実珟できるわけです。
    そもそも自分ずいうものがなくおも我々は存圚したす。生成AIが䜜り出す思考パタヌンもある意味「自分」です。それず同じように、自分の思考が䜜り出した「私」ずいうものがあっお、それが「心ここにあらず」にしたり、珟実を芋えなくしたり、我々が䞍幞になる理由を䜜り出したりしおいたす。
    だから、そういうものが䜜り出される前に戻っおみたしょう、ずいうこずです。蚀葉を䜿い始める前の赀ちゃんは、本圓に幞せそうな顔をしおいたす。䞀緒にいるず、我々も幞せになりたすよね。ああいうずきにもう䞀床戻っおみたらどうだろう──それが、マむンドフルネスがやろうずしおいるこずだず考えおもいいず思いたす。


■泚意をパノラマ的に広げるこずで察人関係の調敎ができるようになる

    最埌にマむンドフルネス実践法の最終段階、「さらに泚意をパノラマ的に広げ、六根を通しお気づくこずができる様々な䜓隓を、同時に捉え続けるようにする」に぀いお説明しおいきたす。
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    六根ずいうのは五感芖芚、聎芚、嗅芚、味芚、觊芚に思考を加えたものです。「えっ、思考するこずでバヌチャルの䞖界に匕きずり蟌たれるのでは」ず思われた方もいるでしょう。

    実は思考には二通りありたす。
    1. ふっず浮かんでくる思考
    2. そこから考え続ける思考

    たずえば「なんかやばい」ずか「これ奜き」ずいうような思考が前者の思考で、これは五感ず同じように珟実を捉える心の働きである──ずいうのが仏教の考え方です。
    もう少し詳しく蚀うず、五感で䞖界を捉えたその次に、ふっず浮かんでくる思考があり、そこたでが珟実の䜕らかの特城を捉えおいる──ずいう考え方です。心理孊でいう自動思考たでは、感芚ず同じように捉えおいい、ずいうこずです。
    六根を通しお気づくこずができる様々な䜓隓を、同時に捉え続けるようにする──これがマむンドフルネスの最終段階の緎習です。遞択のない気づきです。颚に気づき、音に気づき、光に気づき、身䜓感芚に気づく──気づけるもの党おを気づく緎習をするず、芖野が最倧限に広がり、その堎にいる「他者」を含む堎の状況を捉えられるようになりたす。
    日本人は空気を読むず蚀いたすが、「私」が空気を読もうずするず、空気の読み方が䞍正確になっおしたいたす。もっず「私」ずいうものを小さくし、堎の党䜓を捉えるようにしおいくず、そこで䜕が起こっおいるのか、そこにどんな人が存圚しおいるのか、そういうこずも感じられるようになりたす。これはEQの瀟䌚的な認識や察人関係の調敎に繋がっおくるでしょう。
    たずえば、自分がいる郚屋に緊匵した人が入っおきたずき、なぜその緊匵が分かるのでしょうか    もちろん、衚情や仕草を芋おも分かりたすが、実は自分の䜓が緊匵するこずからも分かるのです。緊匵した人が郚屋に入っおくるず、こちらの方もさっず緊匵する──これはマむンドフルネスの緎習をしおいなくおも、皆さんが日頃から感じおいるこずだず思いたす。
    人の気持ちがわかるのは、䜓が感応しおこちらの䜓が倉化するからです。これを情動感染ずいいたす。盞手の呌吞が短くなっおいるず、䜓が感応しお自分の呌吞も短く息苊しくなりたす。それを通しお盞手のこずがわかるのです。そのずきに、こちらが䜓を緩めお呌吞をゆっくりにすれば、今床は逆に䌝染しお、盞手の呌吞もゆっくりになりたす。盞手を䞀旊受け入れおこちらの䜓を緩めれば、盞手も緩んでいく──そういうこずが起こるのです。


■たずめ

    こんなふうにしお、我々は察人関係を感じずり、それを調敎しおいくこずができたす。自分ず盞手の間に䜕が起こっおいるかに気づいお、それを受け入れお、そのたたにしおおく。パノラマ的に泚意を広げお、自分をなるべく小さくしお、その堎党䜓を感じずる緎習をしおいくず、そういった他者ずの関係を理解し、管理するEQの力も自然ず䌞びおいくのではないか──ずいうのが、マむンドフルネスずEQずの関連に぀いお私が思っおいるこずです。
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    私も毎朝40分、マむンドフルネス瞑想を実践しおいたす。土日も䌑たず続けおいお、盞圓なものだず思いたすが、マむンドフルネス瞑想はそんなに特別なこずではなく、こうやっお生きおいるこずず䜕も倉わらないず思ったりもしたす。
    だから、皆さんもこの話を参考にしおいただいお、日々の生掻に生かしおいっおくださるず嬉しいなず思っおおりたす。

了

2025幎2月5日    zoomにお開催
『EQ2.0』刊行蚘念オンラむンセミナヌ「マむンドフルネスEQで磚く新しいリヌダヌシップ」第2回「マむンドフルネスずEQで心の平穏ず共感を育おる」を元に再構成
構成䞭田亜垌


第回 䜓が語る心の声マむンドフルネスで読み解く苊しみのサむン





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