玄侑宗久(僧侶・作家)


新型コロナウイルスの感染拡大によって、経験したことのない困難に直面した私たちは、これからどのように社会を築いていけばよいのか──。僧侶で作家の玄侑宗久師から話をうかがうために、玄侑師が住職を務める福島県三春町の福聚寺を訪ねた。


第6回    死やその周辺にまつわる考察


編集部    コロナ禍で死や死生観について何か感じられていることはありましたか?   


■アクシデント続きの2021年

玄侑    じつは私、2021年は大変だったんです。3月に入院して月末に手術、また7月6日に交通事故に遭い、8月7日には母を亡くしました。まあ、これからは良いことしかないだろうと思っているところです。
    交通事故は、私が青信号で時速30 kmで進んだところに60km 以上で突っ込まれてクルマ全損の10対0の事故でした。結果としては、私はほとんど不死身かなと思ってしまう感じでしたが、事故そのものは結構大きかったですね。私も含めて3人が救急車で病院に運ばれました。
    また、手術については自分が癌になるとは思っていなかったんですが、盲腸癌で、内視鏡で患部を切除してもらいました。中学校3年のときの日本脳炎、それから30歳代に風邪で入院して以来ほぼ30年ぶりの入院になりました。それはもう、現代医療の進歩をものすごく感じましたね。ちょっと簡単には言えないくらいです。