松本紹圭(僧侶)
アルボムッレ・スマナサーラ(テーラワーダ仏教長老)
松本紹圭師がホストを務めるポッドキャスト番組「テンプルモーニングラジオ」で、2025年に実現したアルボムッレ・スマナサーラ長老との対談を記事化。サンガジャパン編集部も収録に同席し、音声で届けられた対話を写真とともに再構成しました。普段は音声でしか触れられない番組の対話を、記事と写真でお届けします。
第3回 雑多な情報から仏教の本質をつかむ
■「伝統を守る」は仏教を捨てる行為
松本 日本の仏教には様々な宗派があり、それぞれに宗祖――すなわち開祖の方がおられます。浄土真宗なら親鸞聖人、曹洞宗なら道元禅師、日蓮宗はその名の通り日蓮聖人です。そして、これらの開祖が語り、考えたことには一切の誤りがなく、すべて正しいという枠組みが確立されている。だから、現代のお坊さんたちは、その枠組みに従ってのみ発言し、執筆し、思考しなければならない。「教えは絶対に正しいから守るべきだ」という前提が構造化されているのです。
なぜこのようなことになってしまったのだろうと、私はよく思います。象徴的なのは親鸞さんでしょう。彼は「自分は間違っている」という自覚を前提に思索を深め、「凡夫」「愚者」と自らを称し、自分は決してブッダではなく、ブッダにもなれそうもない存在であることを常に自覚していました。その親鸞自身が「自分は誤りうる者である」と宣言しているにもかかわらず、現代では「親鸞の言葉はすべて正しい」と絶対視される。この矛盾を、私たちはどう受け止めればよいのか、と思うことはよくありますね。

![松本紹圭×アルボムッレ・スマナサーラ「人間に生まれる奇跡〜限られた一生で、心はどこまで開けるのか〜」〔テンプルモーニングラジオ対談〕[3/5]](https://image.osiro.it/pass/main_images/567393/images/original/3.jpg?1775012276)

