アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「妻から離婚を切り出されて苦しい」という相談にスマナサーラ長老が答えます。

[Q]

    二カ月前に妻から離婚を切り出されました。子供がまだ一歳で、私は毎日苦しい状態です。


[A]

■離婚イコール不幸だと思わないこと

    ややこしい人間関係のことだから、一般論で答えます。二人とも自分のことしか考えていなかったのではないでしょうか?    結局のところ、奥さんの方は奥さんのことだけ考えて、あなたはあなたの利益だけ考えて、真の結婚にはなっていなかったのでしょう。
    自分を抑えて相手のことを心配するのが結婚です。妻は自分を抑えて夫のことを心配して面倒を看る、夫も同じく自分のことを抑えて自分が連れてきた人の幸福のために頑張る--それが結婚なのです。自分より先に相手のことを考えなくてはいけないのです。「俺の幸せのために結婚したんだ」と思ってしまうと当然破綻しますよ。なので、なるようにしかならないと開き直った方が気持ちは楽だと思います。
    離婚は、どこの家庭でもだいたい妻が決めるようです。女性が「嫌だ」と決めたらそれ以上頑張らない方がいいのです。これは決定的でまず復活はできません。
    私たちは現代文明では男性が強いと思っていますけど、生命としては女性が強いのです。決定権は女性にあります。動物を見てください、メスがオスを選ぶのです。猿の群れでもメスが「このボスはダメ」と判断するとあっという間に陥落します。「俺はボスだから」と言っても通用しません。
    私たちも生き物だから同じ法則が働いていますよ。嫌になった・別れたくなった理由は奥さんに訊かなければわからないのです。あなたの性格が悪いということもあり得るし、彼女の妄想のプログラムにあなたが合ってないということもあり得るし、他に好きな人ができたということもあり得るし、いろいろです。
    あなたにできることは自分を直すことです。離婚イコール不幸ではないし、そう思わない方がいいのです。社会的な関係だから面倒臭いのです。夫婦は別れても子供がいるから親子関係は切れませんし。後々再婚しようと思っても、その子供の存在が問題になるなど、いろいろあるでしょうが、生きる上でのトラブルもイコール不幸というわけではありません。
    冷静でいてください。きついことを言うなら、これから一人で生きて行くという前提で人生のプログラムを組み直してください。それだったら離婚自体も楽しむことができます。きっぱりと、楽しく、新たなスタートを切ることができると思います。
    今は夫側からだけの質問ですから、その程度しか答えられません。とにかく一人の生活を早く築いて、それから子供への責任をどう果たすかを考えた方がいいと思います。 


■出典    『それならブッダにきいてみよう: 人間関係編2』
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