【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】
皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「疲れない生き方」です。
[Q]
仕事がとても忙しくて疲れているんですけども、身体を休めることと精神力を鍛えることではどちらが大切ですか?
[A]
■疲れるのは心があるから
どちらでも大切でしょうに。身体は心が動かしているんですよ。全ての細胞は心の指令で動いています。本当は身体っていうのは純粋物質なんです。純粋物質には「疲れる」っていうことは成り立たないんです。
純粋な物質にもentropy(質の低下、崩壊)はありますよ。衰えて行くっていう、それだけ。でも、そんなにみるみるうちに物質がentropyになって消えるなどということは私たちには見えません。かなりの時間がかかりますから。何で私たちは疲れるのかというと、やっぱり心の指令なんですね。だからいつでも、何があっても明るくいる、というね。例えば、トラブルとかややこしい問題と出会ったら「あー嫌だ!」という気持ちを抱くのは絶対毒なんです。「あっ! コレって、あまりにもややこしくて面白いわ〜」と思わなければいけないんです。あるいは逆に「よーし、受けて立とうじゃないか!」とか明るくアプローチするんですよ。疲れてきたらそれを面白がった方がいいんです。「疲れちゃったよ〜」とかね。だからこの何事でも楽しく解釈すれば大体上手くはいきますね。
■妄想の疲れで自己破壊しないこと
すごい疲れが出て来るのは妄想なんです。要らないことを妄想している。仕事に関係あることでも、日常生活に関係あることでもなく……。例えば料理を作る時「何を作ろうかな」と考えることはそんなにストレスにならないんです。「手間がかかるのは嫌だからこのレシピにするぞ」というだけで終わりますから。しかし何の役にも立たない、何の利益にもならない、何のprofit(利益)も無い、妄想ばかりだと自己破壊するんです。
「疲れた、疲れた」と言う人々は大体そういう妄想しているんですね。そこら辺はよく気を付けて欲しいです。「こんな下らんことを妄想しても何の役にも立たない」「何のprofitもない」と、切ってしまえば疲れは無くなります。それほど疲れないで一日生活出来るんです。まぁ体力を使ってしまうと疲れますよ、でもそれは別に悪いことではないんです。ただ、体力はそんな使っていないのに疲れているならば大きな問題です。かなり妄想が激しいっていうことです。誰だって体力をいっぱい使って運動して、疲れたらむしろ気分がいいでしょうに。なぜならばその分、脳みそも心もすごく活発に働いているんですから。
だから、疲れたけど楽しい。疲れ切ったところで、水でも飲んで、座ったり横になったりして休んでいると超気分がいいんです。でも、ものすごく気持ち悪い疲れもありますね。それは妄想! 要らないことを妄想して現れることなんです。だから皆さんはprofitが無い妄想は直ちに止めてください。他人のことを嫌に思ったり、あるいは欲に満ちた目で見たりすることもprofitが無いということです。感情を使って過去の出来事を思い出したり、悩んだことは何であるとか……学校でイジメにあったことを思い出して、その人に対して恨みを作ったりとか。そういうことには何のprofitもありません。自己破壊するだけです。
いつでも役に立つ思考で、profitがある思考で自己開発する性格、する思考で生活した方がいいんです。時間が余ったら語学の勉強をするとか、今はネットで出来てお手軽ですから――まぁそういった楽しむことをやった方がいいんです。
■出典 『それならブッダにきいてみよう: こころ編4』
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