【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】
皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「「死んだらどうなるの?」と怯える子供への答え」についてです。
[Q]
小学六年生の子供から質問を受けました。「死んだらどうなるの? 死ぬのが怖い」と言われたのです。それに対して三分間で長老ならどう答えますか? 「死んだらどうなるの、死ぬのが怖い」に対してどう答えられますか?
[A]
■過去生を思い出してしまった子供への答え
子供が質問する場合は、周りのことを考えて質問する場合もあるし、漫画やドラマを見てそこから感情が出てきて質問する場合もあるし、何のこともなく過去生の経験から質問する場合もあります。だから、それは区別して答えなければいけません。
その子はまだ小さいので、ふと過去生のことを思い出したのかもしれません。私も子供から同じことを言われた記憶があります。皆さんには役に立たないかもしれませんが、参考までにその時の話をします。
私は「死ぬのは怖い」と言っていたその子に、「君は死んだことある?」と逆に訊いてみたのです。そうしたら、「あります」という答えが返ってきました。小学生が「私は死んだことがある」と言ったとしたら、皆様ならどう思いますか? 「何を変なこと言ってるんだ」と否定するでしょう。しかし私は「そうでしょう。あなたは死んだことがあります。でも、今また生きている。だったら、別にどうということはないでしょう? 生きているのだから。特別に考える必要は無いことです。一回だけではなくて、私たちはたくさん死んだことがあるんです。死んでは生まれてくることを繰り返して来たんです。でも、生まれたらそれを忘れてしまいます。あなたは忘れない方がいいですよ」と答えたのです。その子は「うん、わかった」と納得しました。それで終わりです。
私がすぐ感じたのは、あの子はやはり何かしら、過去に自分が死んだ経験を、その時に怖かった記憶などを思い出してしまったのです。それで「死ぬのは怖い」と呟いていたのでしょう。おばあちゃんがその言葉を聞いて、私の所に連れて来たのです。でも、問題は一分以内で完了しました。この例を参考にしててみください。
■一般的な答え
次に、質問に一般的な答えを出します。
「死ぬことは怖いかもしれませんが、現実的にあなたは経験しているのでしょうか? あなたが経験している怖いものはたくさんあるでしょう? 遊ぶ時にケガするのが怖い。お母さんに怒られるのが怖い。宿題を忘れるのが怖い。テストの点数が悪いのが怖い。学芸会で発表するのが怖い。いくらでも怖いものがあるでしょう? 考えてみれば、生きるっていうことは、怖いというものを乗り越えることですよね。ですから、怖いという気持ちは現実的です。私たちが、その怖さを克服しようとする努力が、『生きること』です。怖いと思って何もしないで止まったならば、それこそ本物の『怖い』なのです。ですから、怖いものを克服することが人生だと思って、頑張ってください。」
■出典 『それならブッダにきいてみよう:教育編1』