アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「他人に迷惑な行為とは?」という質問にスマナサーラ長老が答えます。

[Q]

   自分の行為が他人の迷惑になるかどうかということを知るポイントや基準はありますか?

[A]

■普遍的なマニュアルは作りづらい

    これは難しいことです。知る方法は無いと思いますよ。なぜなら、これを判断するためには自分の考えを常に明晰に保たなければいけないからです。感情に任せた行為は何ひとつせず、理性的に行動しなくてはいけないから難しいでしょう。ですから、「○○することは他人様に迷惑をかける」という具体化はできません。第一、そんな軽々しく物事を判断しようとする思考は気持ちが悪いです。出来合いのマニュアルを欲しがるのは怠け者で思考力が無い無知な人です。
    どんな行為が他人に迷惑なのか、判断が難しいということは認めます。でもそれでいいのだと思います。その場で考えて、その場で判断して、一旦やってみて迷惑になったと思ったら「この行為は迷惑になったから、二度とやらないぞ」というふうに自分で決めればいいのです。そういう積み重ねが自分自身のマニュアルになります。例えば子供のしつけをする場合、怒鳴って叱る方が子供のためになる場合もあるし、逆に子供がダメになってしまう場合もあります。しつけの時に怒鳴るべきか否かということも各々のマニュアルになるのです。しかし普遍的なものにはなりません
    その代わり、仏教では物事をきちんとその場で判断する思考力としっかりした理性を保たなければいけないと教えています。ブッダの世界では、マニュアルよりも理性が大事なのです。



■出典 『それならブッダにきいてみよう:人間関係編』 

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