ティック・タム・チー(大恩寺住職)
藤元明緒(映画作家)
日本で生きるベトナム人たちのセーフティーネットとなっているベトナム仏教寺院「大恩寺」住職である尼僧のティック・タム・チー師と、ベトナムから来日した技能実習生の置かれた現実を描き話題となった映画『海辺の彼女たち』監督の藤元明緒氏に対談をいただきました。日本に暮らす外国人技能実習生が置かれた現実を詳しく知るお二人は、日本に生きる彼らの実情と仏教の役割、そして私たちが大切にすべきものをどのようにとらえているのでしょうか。第2回。
第2回 残されたノート
「南無阿弥陀仏」と漢字とベトナム語で刻印された境内の鐘
ティック・タム・チー 監督さんのお話を聞いていて、一人の女性のことを思い出しました。コロナ禍の話ですが、感染率も死亡率も高い日本にいることに、ベトナムの人たちはすごく不安になっていました。チャーター便で帰ることを希望する方も多かったのですが、なかなか飛びません。仕事や住処をなくしてお寺に保護を求める方も増え、お寺ではこの期間に2千人も保護していました。