アルボムッレ・スマナサヌラテヌラワヌダ仏教䞊座仏教長老

Suttanipātapāិi     5. Pārāyanavaggo     10. Kappamāṇavapucchā 
※偈の番号は版に準ずる。    内はミャンマヌ第六結集版の番号


䞀流の孊究者16人ず、智慧の完成者たるブッダの察話によっお導かれた真理を、スマナサヌラ長老が珟代的に解説しおいくシリヌズ。今回は10人目ずなるカッパ仙人ずお釈迊様の察話をお届けしたす。党5回の第回。


第回生きる悩みから解攟される唯䞀の方法


■ブッダの答え1    島を説く宣蚀

.
Majjhe sarasmiṃ tiṭṭhataṃ, (kappāti bhagavā) 
Oghe jāte mahabbhaye;
Jarāmaccuparetānaṃ, dīpaṃ pabrūmi kappa te. 

〔参考蚳〕
    垫ブッダは答えた、「カッパよ。極めお恐ろしい激流が到来したずきに䞀面の氎浞しのうちにある人々、老衰ず死ずに圧倒されおいる人々のための掲避難所を、わたしは、そなたに説くであろう。


    ブッダは、カッパさんの問いかけの文章をそのたた繰り返しおいたす。倉わっおいるのは3行目のセクションだけです。「そのような島をあなたに説きたす」、「あなたが蚀う条件がすべおそろった島に぀いお説きたす」ずカッパさんに受け合うのです。その具䜓的な内容は2番目の答えで説かれたす。

■ブッダの答え2    「なにもない」ずいう島

. 
‘‘Akiñcanaṃ anādānaṃ, etaṃ dīpaṃ anāparaṃ;
Nibbānaṃ iti [nibbānamīti (sī.)] naṃ brūmi, jarāmaccuparikkhayaṃ.

〔参考蚳〕
いかなる所有もなく、執著しお取るこずがないこず、──これが掲避難所にほかならない。それをニルノァヌナず呌ぶ。それは老衰ず死ずの消滅である。


    ●諊めればそこで終わり

    Akiñcanaṃ anādānaṃアキンチャナン  アナヌダヌナン、このakiñcanaṃ アキンチャナンずいう単語は蚳が難しいのです。Akiñcanaṃずいうのは、日本語蚳では「いかなる所有もなく」ずなっおいたす。Akiñcanaṃずいうのは「なにもない」ずいう意味なのです。でも、「なにもない」にいたる道があるのです。これから説明したす。
    先ほど、卵のたずえを出したした。「私は卵が食べたい。しかし、癜身も黄身も嫌いだ。絶察に食べたくない」ずいう状況に陥ったずき、答えは二぀あるのです。「嫌」ずいう気持ちを捚おお卵を食べるか、卵を諊めるか、どちらかなのです。そういうわけで、この二぀の答えに合わせお、偈の解釈を分けなくおはいけないのです。
    次のanādānaṃアナヌダヌナンは「執着するこずもない」、぀たり「無執着」です。無執着の反察は執着です。だから執着するか無執着にするか、どちらも答えなのです。しかし、執着するず、kiñcanaṃキンチャナンずいう問題、「どちらにするのか」ずいう問題が必ず出おくる。嫌々でも卵を食べるこずになったら、どんな料理にするのかずいう問題が出おくるのです。
    たずえば日本の四角い圢の卵焌き、「圢もきれいだし、あれどうですか」「いやヌ、砂糖を混ぜたりいろいろなこずをしおいるのだからね。䜜り方も面倒だから嫌だ」。「では、スクランブル゚ッグは」「芋た目がごちゃごちゃしおるし、スプヌンで食べればいいのか、箞で食べればいいのかわからないから、やっぱ面倒くさい」ずなる。そうやっお、卵を食べるこずに決めるず「これではなくこれ」「これではなくこれ」ずいうふうな問題が出おくるのです。Kiñcanaṃずいうのはそういう意味、「どちらにしようかな」ずいうこずです。ラヌメンを食べたいのだけれど、ここらぞんには癟軒のラヌメン屋がある。さお、どこの店に入るべきでしょうか    いろいろな条件を調べお、仕方なく䞀軒のラヌメン店を遞んで店の前に来たずころで、どうも玍埗できたせん。じゃあ10番目のずころに行きたしょう、ず決めお10番目の店に行ったら、やっぱりなんずなく最初の店のほうがよかった気がする。あっちは老舗のような感じがしたから、もっずおいしいかも  。結局、どこを遞んでも䞍満が残っおしたう。
    そういうわけで、卵を食べるこず、぀たり生きるこずに執着するず決めたならば、この問題から逃げられなくなるのです。卵の䟋がピンず来なければ、なにか別の䟋を考えおみおください。もう培底的に呜に執着しおもいいず決めお、執着しおしたったら、その時点からあらゆる問題が出おくるのです。
    生に執着するず決めおも、なにを食べればいいか、どんな服を着ればいいか、髪型はどうしようかずか、どこに䜏もうかなずか、結婚するかしないか、子どもを぀くるか぀くらないかずか、いろいろな問題が出おくる。そこで、結婚するこずに決めたずする。それで問題は終わりたすか    いいえ、終わりたせん。結婚したパヌトナヌに執着しおしたうず、たた激しい粟神的な悩みが珟れるのです。この悪埪環は決しお避けられたせん。卵を食べるず決めたら、どんなふうに食べるかを必ず決めなくおはいけない。しかし、決めたずしおもそれは卵料理の最高バヌゞョンではないのです。
    Akiñcanaṃずいうのは、そういう状態から心が解攟されるこずです。「ラヌメンを食べない」ず決めたら、ラヌメン屋が癟軒䞊んでいおも䞀䞇軒䞊んでいおも、どうっおこずないでしょう。その界隈に入りたせん。ラヌメンは食べたせんからね。「面癜いよ、あそこにはラヌメン店が五癟軒、千軒もありたす。それたたいろいろ研究されおいお飛鳥時代やら瞄文時代から昭和時代たでのラヌメンの、いろいろな䜜り方がそろっおいたすよ」ずか。でも、食べないず決めたなら「食べたせんからね」ずいう䞀蚀で悩みは消えたす。しかし、千軒あるラヌメン街に入っお自分にずっお䞀番おいしいラヌメンを食べお吟茩は満足するぞず思った人は、限りない粟神的な悩みに出䌚わなくおはいけたせん。これはどうにもならないのです。Akiñcanaṃずいうのはその問題から解攟された、ずいうこずです。
    次の単語はanādānaṃ、「無執着」です。Ādānaアヌダヌナずは「あ、これに決めたした」ず取っお執着するこずです。その吊定圢であるanādānaan-ādānaアナヌダヌナは「執着はしない」ずいう意味になりたす。Akiñcanaṃずanādānaṃの二぀は類矩語ですが、機胜的には二぀に分けお解説をしたほうが理解する人の圹に立ちたす。取らないこず、無執着ずいうこずがなければ、akiñcanaṃ無所有にはなりたせん。だから、単語を二぀䞊べおいるこずにも意図があるのです。

    ●呜は劄想

    ここでお釈迊様がおっしゃっおいる島ずは、先ほどの卵のたずえで蚀えば、「卵自䜓を諊める」こずなのです。最初に「卵を食べたい」ず思ったけれど、卵ずは䜕かず調べたら癜味ず黄味だった。本人にずっおは、癜味ず黄味は嫌なのです。それでも、圌は知識䞍足で「卵を食べたい」ず思っおしたう。そこでその人は勉匷したす。勉匷した結果、「卵ずは癜味ず黄味であっお、それ以倖の䜕物でもない」ず発芋する。そうであれば、卵は食べるべきものではない。欲しいず思った自分がバカであった、自分はずんでもない無知だったこずを悟る。ここたで来お、ようやく執着が消えるのです。
    この勉匷なしに、「あなた、もう卵を食べるのはやめなさい」ず蚀われおも、それは無理な話です。本人が頑匵っお䞀日か二日くらい、卵を避けるかもしれたせんが、たた「食べたい」ずいう気持ちがわきあがっおきたす。そういうわけで、勉匷しお事実を発芋するずいうこずがどうしおも必芁です。ここで卵の癜味ず黄味にたずえたのは、カッパさんずお釈迊様の偈に出おくる「老」ず「死」のこずです。生呜ずいう「卵」は、老・死ずいう癜身ず黄身で成り立っおいるものです。それなのに、私たちは「呜がほしい。しかし、老・死だけは勘匁しおくれ」ず蚀っおいるのです。
    Etaṃ dÄ«paṃ anāparaṃ゚ヌタン  ディヌパン  アナヌパラン、「これが掲避難所にほかならない」。これ以䞊、優れた島がありたせん、ずいう意味です。これこそが唯䞀の答えなのです。
    Nibbānaṃ iti  naṃ brÅ«miニッバヌナン  むティ  ナン  ブルヌミ、「それをニルノァヌナず呌ぶ」。唯䞀の島を他の蚀葉で呌ぶならば、nibbānaニッバヌナ涅槃ずも蚀いたす。Jarāmaccuparikkhayaṃゞャラヌマッチュパリッカダン、「それは老衰ず死ずの消滅である」。あるいは、老衰ず死がなくなった、終了したずころずも蚀うのです。嫌がっおいた老・死の二぀がなくなった境地が説かれおいたす。
    そこで、「ああ、老・死じゃない呜があるのだ」ず思う愚か者がいるのだけど、それはご自由にどうぞ。「黄味も癜味もない卵がどこかにあるのだ」ず、思いたければ勝手に思いなさいずいうこずになるのです。老衰ず死の消滅ずは、呜の消滅でもありたす。そういうわけで、皆が倧切に守ろうず頑匵っおいる「呜」ずいうのは、本圓はいいかげんな劄想なのです。「かけがえのない呜」ずか、「私の呜」ずか、「私」ずか、すべお劄想に駆られお悩んでいるに過ぎないのです。

第回に぀づく


2017幎11月10日    ゎヌタミヌ粟舎での法話をもずに曞き䞋ろし
構成    䜐藀哲朗


第回人生の苊から逃れられるずころずは
第回呜の真理を知っお、悪魔に打ち克぀


お知らせ

アルボムッレ・スマナサヌラ著
『スッタニパヌタ    第五章「圌岞道品」』
玙曞籍のご玹介


アルボムッレ・スマナサヌラ長老の著曞『スッタニパヌタ    第五章「圌岞道品」』の『第䞀巻』ず『第二巻』はサンガより刊行され、珟圚、玙曞籍をサンガ新瀟が発売しおいたす。
今埌の続刊に収録する法話を、『WEBサンガゞャパン』で連茉しおいきたす。
『第䞉巻』の刊行をご期埅いただくずずもに、『第䞀巻』『第二巻』もどうぞお買い求めください。サンガから刊行した『第䞀巻』『第二巻』は数に限りがございたすので、お早めにご泚文ください

䞀流の孊究者16人ず、
智慧の完成者たるブッダの察話によっお導かれた真理を、
鮮やかな珟代日本語でわかりやすく解説する。

第䞀巻
Ⅰ    アゞタ仙人の問い
Ⅱ    ティッサ・メッテむダ仙人の問い
Ⅲ    プンナカ仙人の問い
Ⅳ    メッタグヌ仙人の問い

第二巻
⅀    ドヌタカ仙人の問い
Ⅵ    りパシヌノァ仙人の問い
Ⅹ    ナンダ仙人の問い
Ⅷ    ヘヌマカ仙人の問い


【以䞋、第䞉巻以降に収録予定】

ⅹ    トヌデむダ仙人の問い
Ⅹ    カッパ仙人の問い
Ⅺ    ゞャトゥカンニン仙人の問い
Ⅻ    バドラヌノダ仙人の問い
XIII    りダダ仙人の問い
XIV    ポヌサヌラ仙人の問い
XV    モヌガラヌゞャ仙人の問い
XVI    ピンギダ仙人の問い


『第䞀巻』『第二巻』は「サンガオンラむンストア」ず「Amazon」で販売しおいたす。販売ペヌゞのリンクをご玹介したす。

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スッタニパヌタ    第五章「圌岞道品」
第䞀巻


アゞタ仙人の問いティッサ・メッテむダ仙人の問い
プンナカ仙人の問いメッタグヌ仙人の問い

アルボムッレ・スマナサヌラ著





 

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スッタニパヌタ    第五章「圌岞道品」
第二巻


ドヌタカ仙人の問いりパシヌノァ仙人の問い
ナンダ仙人の問いヘヌマカ仙人の問い

アルボムッレ・スマナサヌラ著



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