アルボムッレ・スマナサーラ

【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】 

    皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日は「瞑想はヘルニアにも効果がありますか?」という問いにスマナサーラ長老が答えます。

[Q]

   椎間板ヘルニアや頸椎ヘルニアという持病があるのですが、瞑想というのは病気にも効果的なのでしょうか?

[A]

■肉体の病気は治らなくてもいい

    まず言いたいのは「別に肉体の病気は治らなくてもいい」という事です。だって生老病死は、自然の流れですからね。「あぁ、そうか」と、落ち着いていることがかっこいいのです。身体はそんな調子でも別に気にしませんと。人間が完全に無病であるならば命は成り立ちません。身体が壊れたり、老いたりするからこそ、私たちはそれを修復するということをやっています。生きているということは絶えず身体を修復し続けることです。ですから、病気が完治してしまったら、マズいのではないでしょうか?    人は死ななくてはいけないのです。一般社会で病気だというのは、生命に法則としてそなわっている病気ではなく、そのプログラム以外で突然起こるインフルエンザ・肺炎・脳膜炎などなどです。
    身体の病気は治しやすいのです。しかし、精神の問題で身体が病気になることもたびたび起こります。このような病気は、医学的に治療を施してもなかなか治りません。精神が原因で現れる病気は、瞑想をきちんと続けると治ります。身体の構造上の病気と、細菌などに感染するような病気の場合は別ですが。細菌に感染してもそこは身体がすぐ抗体を作ります。しかし、精神的に喜びがない、楽しくないと感じている場合は、白血球など免疫システムが起動しない・働かないのです。精神的に暗いと免疫システムがスムーズに仕事をしないのです。交番で待機しているお巡りさんと同じようなものですね。交番にいることはいるのですが、何をやっているのかよくわからない。
   しかし、何か問題が発生したらそんなものではありません。すぐに関係各所に連絡し、現場に大勢のお巡りさんが駆けつけるのです。我々の持っている免疫システムは、身体の中に交番があるようなものです。交番はいろんなところにありますが、普段は何をやっているかわからない。しかし何かに感染したら、いきなり連絡がいって、すぐにそれを対処(退治)するのです。
    それで、心が壊れている場合、機能するはずの免疫システムでは、何かに感染したとしても、そのまま連絡を絶ってしまうのです。ですから、交番があって安全なつもりでいるのですが、身体は壊れていくのです。ガン細胞を壊すためにも免疫システムが働かなくてはいけないそうです。

■病気を人生の障害にしない

    心の状態が良ければ、免疫システムはしっかりと機能し働きますよ。心が明るくて、常に充実感があって、過去と将来のことに悩まないで、人生は今の瞬間だけだと、だからおどおどする必要は無い、落ち着けという感じでいられる場合は健康が保たれます。しかし、生きている限り、完全に健康ということは成り立たないのです。
    椎間板ヘルニアや頸椎ヘルニアなどは、身体を構成する組織の組み立て問題です。長い間、正しい姿勢を保たないで生活することでも起こり得るのです。もしかすると元々、自信が無い、精神的に暗い、などの精神問題があって、その結果、姿勢が悪くなることもあり得ます。原因はどうであっても、今は組織の組み立ての問題なので心の問題ではありません。肉体が与える苦しみに負けず瞑想実践すれば精神的に強い人間になります。精神的に健全になった場合、身体の不都合は気にしないでいることができます。病気が自分の人生の障害になることは無くなります。



■出典   『それならブッダにきいてみよう:ライフハック編』  

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