凶悪犯罪に至るまでの、無数の小さな敷石のようなものは、なんとなく理解できる。絶対化した教義の上に、何階建てにもなって虚構が乗る。虚構は虚構なので、ずっとそれを信じるための燃料が必要だ。それは時々、架空の敵であり、理不尽な迫害であったりする。


佐々涼子(ノンフィクション作家)
(サンガジャパンVol.30 「オウム以外の人々」)
※肩書は掲載時