石川勇一(臨床心理士、公認心理師、相模女子大学人間社会学部人間心理学科教授、行者)


第3話    僧院にて~修行仲間とパオ・メソッドの瞑想法


■18.最高の瞑想を求めてミャンマーに移動してきた比丘

    私がモービ僧院にいた頃、私以外の日本人の出家修行者は8人いらっしゃいました。他国のアジア人や欧米人には女性修行者もたくさんいましたが、日本人は全員男性で、女性修行者は一人もいませんでした。
    シーマ・ホールで瞑想するとき、いつも私の前で坐っていたのが日本人のK比丘でした。夕方5時にお茶やジュースを飲める時間があるのですが、このときにK比丘に話しかけると、いろいろなことを教えてくれました。K比丘は私より一つ年上で、出家前に日本でヨーガの教師などをしていましたが、臨死体験や、刹那の瞬間をスローモーションで認識する体験など、非日常的な体験をしたことがきっかけで探究心を起こし、瞑想を極めるためにタイで比丘出家したそうです。しかしタイの僧院では満足のいく瞑想指導が受けられなかったため、納得のいく指導が受けられる僧院を捜して、こちらの僧院に移動してきたということです。こちらで瞑想指導を1年ほど受けてきたK比丘は、「セヤドーは本当によく瞑想が分かっていると思います。瞑想指導は的確だと思います」と語っていました。