テーラワーダ仏教の定義はまず何よりパーリ経典に基づくということである。仏法僧の三宝も、パーリ経典に依拠するものであることが前提となる。お釈迦様の直の言葉を含むとされるもっとも古い仏教の聖典であるパーリ経典は、もともと口頭伝承だったお経が、ある時期に文字化し、2600年の時を経て現代に伝えられているとされる。このパーリ経典を私たちは現代の日本語として読むことができる。テーラワーダ仏教に造詣の深い著述家、翻訳家の星飛雄馬氏に、その翻訳史、翻訳書の紹介と解説、そしてパーリ経典に親しむためのブックガイドをご寄稿いただいた。

星飛雄馬「パーリ経典翻訳の歴史~パーリ経典ブックガイド」

星 飛雄馬(著述家、翻訳家)

今回、サンガ新社の編集部から、「パーリ経典の翻訳の歴史」について寄稿の依頼がありました。研究者でない私にとって、おこがましいようなテーマですが、読者の皆さんのブックガイドとして、少しでもお役に立てることがあればと思い、筆を執ることといたしました。


■パーリ経典を読むための準備

●パーリ経典を読むための準備

    パーリ経典は、何といっても今から2500年以上前に書かれたものです。それが書かれた当時の人々の生活は、21世紀現在の日本に暮らす私たちと比べ、大きく異なったものです。日本でも、『古事記』や『日本書紀』といった古典を読む際には、当時の時代背景などの予備知識が必要です。ここでは、そうしたパーリ経典を読むための予備知識が簡単に得られる書籍を、2冊ほどご紹介いたします。

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『ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか : 本当の仏教を学ぶ一日講座(NHK出版新書)』
佐々木閑
(NHK出版、2013年)
アマゾン
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honto
    本書は、仏教学者の佐々木閑(ささきしずか)氏が、カルチャーセンターで行った公開講座を本にしたものです。そのため、仏教に対する予備知識を持たない受講者を想定しているので、とても分かりやすいです。
    本書の素晴らしい点は、今日では世界宗教となっている「仏教」という教えが生まれた時代背景を、歴史学的知見から懇切丁寧に説明しているところです。
    当時のインドに暮らしていたアーリア人たちは、現在のヒンドゥー教の原形となるような独自の宗教および世界観をインドに広めていきました。そしてその価値観の中で、現在のインドにも残るカースト制度が生まれました。カーストは、四つの階級からなります。

①バラモン(司祭)
②クシャトリア(王侯、武士)
③ヴァイシャ(庶民)
④シュードラ(隷属民)

    これらのうち、アーリア人は、バラモン、クシャトリア、ヴァイシャのいずれかの階級として生きていきます。一方、被支配者であるインドの先住民たちは、最高でもヴァイシャであり、バラモンやクシャトリアにはなれません。また、シュードラにすらなれない最下層のアウトカースト(不可触民)という階級も存在し、先住民の場合、アウトカーストにされてしまう場合もありました。
    こうしたカースト制度は、血統制によって強固に支えられています。つまり、バラモンの家系に生まれた子は自動的にバラモンになり、シュードラの家系に生まれた子は自動的にシュードラとなるのです。シュードラの家系に生まれたものが、その後の努力によって、バラモンになることは事実上不可能なのです。
    こうした理不尽なカースト制に対し、ゴータマ・ブッダは敢然と反旗を翻しました。ブッダは、人の価値は血統によって決まるのではなく、その人のおこなった行為によって決まると断言したのです。
    このような歴史的な時代背景は、経典を読む上で必須のものです。仏教誕生時のインドの歴史に詳しい読者は本書を読む必要はありませんが、そうでないなら、ぜひ読むことをおすすめする一冊です。
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『仏教思想のゼロポイント : 「悟り」とは何か』
魚川祐司
(新潮社、2015年)
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    パーリ経典を読むための準備としておすすめの本の2冊目は、新進気鋭の仏教研究者、魚川祐司(うおかわゆうじ)氏の主著『仏教思想のゼロポイント』です。
    この本で特に注目してほしいのは、仏教の基本教理について解説した第二章です。魚川氏はミャンマーで長年にわたる修行経験があり、教学にも瞑想実践にも通じているため、難解な仏教の基本教理も、誰にでもわかりやすく解説しています。三相と呼ばれる無常(アニッチャ)、苦(ドゥッカ)、無我(アナッター)についての知識は経典を読むためには必須なので、あまり仏教教理に詳しくない方は、経典を読みはじめるまえに、ぜひ本書を読んでおいたほうがいいと思います。


■パーリ経典日本語訳の歴史

●翻訳の世界に比類なき大プロジェクト

    パーリ経典はテーラワーダ仏教の聖典であり、読んで字のごとくパーリ語で書かれています。古代インドには多くの言語がありましたが、その多くは今日では失われてしまっています。現代でも残っている古代インド語の代表的なものが、サンスクリット語です。サンスクリット語は古代インドの標準語であり、宗教的な儀礼をおこなう際の典礼語でもありました。大乗仏教の経典は、このサンスクリット語で書かれています。
    標準語であるサンスクリット語に比べ、テーラワーダ仏教の聖典語であるパーリ語は、俗語や方言を意味するプラークリットと呼ばれます。パーリ語の文字は現存していないため、スリランカやミャンマーといった現代のテーラワーダ諸国のパーリ経典は、現地の言葉で書かれています。それ以外の国の人々は、パーリ聖典協会(PTS)によってローマ字化されたパーリ経典を読むことが多いようです。とはいえ、それではパーリ語を習得していない一般の日本人は経典に親しめませんから、これを翻訳して日本語でも読めるようにしよう、というプロジェクトが、戦前から進んでいました。
    その精華が、『南伝大蔵経』です。総勢51名の研究者が6年がかりで翻訳に取り組み、1941年に全65巻の形で出版されました。パーリ経典の全訳としては、世界にも類をみない、貴重なものです。底本にはパーリ聖典協会(PTS)の版が使われたほか、一部タイ王室版も利用されています。

    こうして大変な苦労の末、『南伝大蔵経』が刊行された後、30年ほどはこの訳書がパーリ経典の翻訳のスタンダードでした。現在でも、大藏出版から刊行されており、購入することができます。テーラワーダ仏教に関心を持った日本の読者はすべからく、『南伝大蔵経』を読んでいたのです。
    ところが、1970年代ごろになってくると、そうした状況に変化が訪れます。『南伝大蔵経』は貴重なテキストでしたが、戦前の翻訳ということもあり、どうにもその日本語が戦後の日本人の感性からすると読みにくく、また古く感じられるようになってきたのです。
    そこに彗星のごとく現れたのが、仏教学者の中村元(なかむらはじめ)でした。彼は岩波書店から文庫という手に取りやすい形で、『ダンマパダ』『スッタニパータ』といったパーリ経典の中でも重要な経典をピックアップし、翻訳、紹介していきました。古めかしい『南伝大蔵経』の文章と異なり、読みやすく平易な日本語で書かれた中村元の訳は大ヒットし、ロングセラーとなりました。そして、その後長らくパーリ経典と言えば中村元の訳、というイメージが日本人の中で定着していきました。
    また、同じ時期には増谷文雄によるパーリ経典の部分訳である『阿含経典』が筑摩書房から刊行されています。パーリ仏典の専門知識のみならず、道元の『正法眼蔵』を全訳するほど日本仏教にも通じた増谷の訳文は端正で、本書は現在も版を重ねるロングセラーになっています。

●パーリ経典の構成

    このように理想的とも言える中村元訳でしたが、そこには一つの問題がありました。それは、『南伝大蔵経』と異なり、部分訳だったことです。無理もありません。『南伝大蔵経』は、総勢51名の研究者が6年がかりで翻訳したものですから、パーリ経典を個人で全訳することは、容易いことではないのです。
    それでも、「やさしい現代語でパーリ経典の全訳を読みたい」という声は日に日に高まってきました。そうした中、1990年代ごろから、「現代日本語による、パーリ経典の全訳を作ろう」という気運が高まってきます。
    ここで今一度、パーリ経典の構成について、確認してみることにしましょう。テーラワーダ仏教の聖典は、三蔵(ティ・ピタカ)と呼ばれ、

①経蔵(スッタ・ピタカ)
②律蔵(ヴィナヤ・ピタカ)
③論蔵(アビダンマ・ピタカ)

の三つからなります。経蔵とは、ブッダの教えを記した経典を集めたもののことです。律蔵とは、テーラワーダ仏教の出家サンガにおける、比丘が守るべき戒律を記したもののことです。そして論蔵とは、仏教の教理と、その註釈を集めたものになります。

●経蔵について

    パーリ経典の全訳の中で、一般読者が読みたいものと言えば、やはりまずは経蔵でしょう。律蔵は基本的に出家者が知っておくべきものですし、論蔵も専門性が高いものです。そこで、90年代からのパーリ経典の現代語訳は、経蔵中心に進んでいきました。ここで、経蔵の構成について確認してみましょう。

    テーラワーダ仏教の経典は、

①長部(ディーガ・ニカーヤ)
②中部(マッジマ・ニカーヤ)
③相応部(サンユッタ・ニカーヤ)
④増支部(アングッタラ・ニカーヤ)
⑤小部(クッダカ・ニカーヤ)

の五つからなります。

●長部

    このうち、長部(ディーガ・ニカーヤ)に関しては、春秋社と大蔵出版から、それぞれ現代語訳が全巻刊行されています。ただし、春秋社のものは複数の訳者によるもので、訳文の統一性などの観点から、本稿では大蔵出版による訳のほうをおすすめいたします。
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『パーリ仏典第二期長部(ディーガニカーヤ)』(全6巻)
片山一良訳
(大蔵出版、2003~2006年)
大蔵出版
    パーリ仏教学の泰斗である、片山一良氏による長部経典の個人全訳です。
    片山氏が翻訳の底本として用いたのは、ミャンマー第六結集版であり、注釈書もそれに準じたものが使用されています。そしてさらに、必要に応じてPTS版など、他の版も随時参照されています。

    片山氏の訳のように全訳ではありませんが、部分訳の傑作としては、
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『沙門果経 : 仏道を歩む人は瞬時に幸福になる(初期仏教経典解説シリーズ)』
アルボムッレ・スマナサーラ
(サンガ、2015年)
※現時点で新刊販売サイトなし

があります。本書は長部経典に収録された『沙門果経』を、テーラワーダ仏教の僧侶であるアルボムッレ・スマナサーラ長老が解説したものです。長部経典に収録された経典は、比較的長いものが多いですが、沙門果経の原文も長い散文であり、ストーリー性もあります。
    そのため、本書の内容自体多岐に及びますが、中でも興味深いのは、六師外道と称されるプーラナ・カッサパ、マッカリ・ゴーサーラ、アジタ・ケーサカンバラ、パグダ・カッチャーヤナ、ニガンダ・ナータプッタ、サンジャヤ・ベーラッティプッタといった当時のインドの代表的な論者たちの議論が紹介され、それらと仏法の違いについて解説された部分です。
    これら六師の内、ジャイナ教の開祖であるニガンダ・ナータプッタ以外の思想は、今日ではなかなか知ることが難しくなっています。そのような意味で、あくまで仏教の側から見た各思想の解説ではありますが、2500年前当時のインドの思想状況を知る書としても、本書は興味深いものとなっています。
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『成功する生き方 : 「シガーラ教誡経」の実践(角川文庫)』
アルボムッレ・スマナサーラ
(KADOKAWA、2012年)
アマゾンキンドル楽天ブックス(紙)honto(電子書籍)
    長部経典所収の『シガーラ教誡経』をアルボムッレ・スマナサーラ長老が訳し、それに解説をつけ加えたものです。経典のタイトルの「シガーラ」とは、経典の中に登場する人物名で、このシガーラ青年にブッダが説いた教えが、本書の内容となっています。
『シガーラ教誡経』は長部経典に収録されている経典だけあって、ボリュームもあり、ストーリー性にも富んでいます。そして、この経典では出家者よりむしろ、仏教の在家者として生きる上での心得が主題となっています。
    ある意味、2500年以上前に説かれた人間関係論とも捉えることができますが、その内容は普遍性に富み、現代社会にも通じるところがあります。在家向けの教えということもあり、仏教徒でない方にもおすすめできる一冊です。

●中部
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『パーリ仏典第一期中部(マッジマニカーヤ)』(全6巻)
片山一良訳
(大蔵出版、1997~2002年)
大蔵出版
    中部経典も、片山一良氏による個人全訳が大蔵出版より刊行されています。中部経典には、呼吸による気づきの瞑想の方法を説いた『アーナーパーナ・サティ・スッタ』、マインドフルネス瞑想の方法を説いた『サティパッターナ・スッタ』など、テーラワーダ仏教の瞑想の基本となる重要な経典が含まれているため、興味のある方も多いと思います。

●相応部
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『パーリ仏典第三期相応部(サンユッタニカーヤ)』(1~)
片山一良訳
(大蔵出版、2011年~)
大蔵出版
    相応部経典も、片山一良氏による個人全訳が大蔵出版より刊行されています。ですが、長部、中部と異なり、こちらは未完です。ただ、2022年現在、全10巻のうち、9巻までは刊行されているので、近日中に完結すると思われます。

●増支部

    増支部経典に関しては、片山一良氏による翻訳はありません。ただし、春秋社から全訳が刊行されているので、そちらを読むことによって現代語で増支部経典に触れることが可能です。
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『原始仏典Ⅲ    増支部経典(アングッタラ・ニカーヤ)』(全八巻)
 中村 元(監修)、前田 專學(編集)、林隆嗣(翻訳)
(春秋社、2016~2020年)
春秋社
●小部
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『小部経典 (パーリ語原文付)~正田大観 翻訳集 ブッダの福音~』(全10巻別巻1)
正田大観訳
(Evolving、2015年)
アマゾンキンドル
    小部経典は、片山一良氏ではなく、正田大観氏が個人全訳を刊行しています。原文に忠実な丁寧な翻訳で、また、電子書籍ということもあり、長部、中部といった経典に比べ、廉価に入手できるようになっています。
    どの巻も重要ですが、特にテーラワーダ仏教の修行法について詳細に記した、『パティサンビダーマッガ(無礙解道論)』の翻訳が収録された十巻は貴重なものだと思います。

    正田氏のものの他に、部分訳ですがおすすめの本を2冊紹介いたします。
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『心に怒りの火をつけない~ブッダの言葉〈法句経〉で知る慈悲の教え(角川文庫)』
アルボムッレ・スマナサーラ
(KADOKAWA、2011年)
アマゾンキンドル楽天ブックス(電子書籍)honto(電子書籍)
    小部経典所収の『ダンマパダ』をアルボムッレ・スマナサーラ長老が訳し、それに解説をつけ加えたものです。全部で50の偈(ガーター)が精選され、紹介されています。
『ダンマパダ』は元々、偈の形式をとっていることもあり、詩句単体では意味の取り難いものも多いです。本書では一つ一つの偈に対し、スマナサーラ長老が懇切丁寧な解説を加えています。正田大観氏の訳した『ダンマパダ』を読んで、よりダンマパダについて知りたくなった読者におすすめの一冊です。
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『ブッダの「慈しみ」は愛を超える(角川文庫)』
アルボムッレ・スマナサーラ
(KADOKAWA、2012年)
アマゾン楽天ブックスhonto
    小部経典所収の『慈経』をアルボムッレ・スマナサーラ長老が訳し、それに解説をつけ加えたものです。『慈経』も『ダンマパダ』と同様に偈文の形式をとっていますが、その一句ごとにスマナサーラ長老が詳細な解説を施しています。
『慈経』はそれほど長くないこともあり、テーラワーダ仏教圏では日常的に読誦されているような基本経典であるため、こうした法話を通じて内容を正しく理解しておくことは重要なことです。
    巻末には、「慈悲の瞑想」の実践方法や、『慈経』のパーリ語原文・日本語対訳も付録として掲載されており、小部経典を持っていない読者でも、この一冊で『慈経』について完全に理解できる、親切な構成となっています。

●論蔵
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『清浄道論~正田大観 翻訳集 ブッダの福音~』(全3巻)
正田大観訳
(Evolving、2016年)
アマゾンキンドル
    経典だけでなく、論蔵も読んでみたい、という読者の方もいらっしゃることでしょう。そんな方におすすめなのが、この本です。五世紀にインドの学僧ブッダゴーサによって著された、『清浄道論』の正田大観氏による現代語訳です。『清浄道論(ヴィスッディマッガ)』はテーラワーダ仏教の修道論を網羅する性格のものであり、あらゆる教理について述べられたものであるため、本格的にテーラワーダ仏教を学ぶものにとっては、必読の文献であると言えます。
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『ブッダの実践心理学 : アビダンマ講義シリーズ』(全8巻、第7巻+第8巻合冊1)
アルボムッレ・スマナサーラ、藤本晃
(サンガ、2005~2013年)
サンガ新社ECサイトアマゾンキンドル
    十世紀に活躍した学僧アヌルッダの著書『アビダンマッタサンガハ』を、アルボムッレ・スマナサーラ長老と仏教学者の藤本晃氏が解説したものです。原著の『アビダンマッタサンガハ』は100頁にも満たない薄い本ですが、本書は全8巻にも及ぶ圧倒的なボリュームを誇っています。
    ですが、『ブッダの実践心理学』が長大なのには理由があります。『アビダンマッタサンガハ』は、ミャンマーで比丘が出家をした際に最初に学ぶテキストですが、一人で読むものではなく、講師が講義を行う際に参照されるものなのです。そのため、テキストの内容だけ読むと、項目が羅列してあるだけのように見えてしまい、真意が分かりにくい。そこを、スマナサーラ長老が現代日本人にも分かりやすい譬えで、わかりやすく説明してくれているところが本書の魅力です。
    先述したように、『アビダンマッタサンガハ』はミャンマーで出家をしたのなら、必ず学ばなければならないようなテキストです。もし、本格的にテーラワーダ仏教の修行者たらんとする方がいるのなら、本書は必読の一冊と言えるでしょう。

●おわりに

    以上、駆け足ではありますが、日本における「パーリ経典翻訳の歴史」について概観してまいりました。近日中には、サンガ新社から『サンユッタニカーヤ』のスマナサーラ長老による新訳も刊行予定です。これからも益々、日本語で読めるパーリ経典は充実していくことでしょう。本稿もまた、読者の皆さんの修行の一助となれば幸いです。

参考文献】
片山一良『パーリ仏典入門』(大法輪閣、二〇〇八年)

【著者紹介文】
星 飛雄馬    (ほし・ひゅうま)
1974年、長野県生まれ。著述家・翻訳家。東京都立大学大学院社会科学研究科修士課程修了。東京大学社会情報研究所教育部修了。修士(社会学)(東京都立大学、2001年)。専門は宗教社会学、社会政策。東方学院にてパーリ語を学ぶ。著書に『「知」への英単語』(テイエス企画)、『45分でわかる! 数字で学ぶ仏教語。』(マガジンハウス)、訳書にアーチャン・チャー『[増補版] 手放す生き方』、マハーシ・サヤドー『ヴィパッサナー瞑想』(以上、サンガ)などがある。
E-mail: infohoshi@gmail.com
Blog: https://huma.hatenablog.com/