「日日是好日」という言葉をテーマにした「バッデーカラッタ・ガーター(Bhaddekaratta gāthā)」について詳しく解説した経典が、中部経典に4編収録されています。「日日是好日」偈の真髄を理解できるよう、スマナサーラ長老にこれらの解説を多面的に読み解いていただきます。
第10回 「日日是好日」偈 阿羅漢の解説 ②マハーカッチャーナ尊者の解説-3〈現在〉
■今、現在生きる自分
マハーカッチャーナ尊者は、過去、未来に続いて今、現在について解説を続けます。
●マハーカッチャーナ尊者の解説
Kathañca, āvuso, paccuppannesu dhammesu saṃhīrati?
友よ、現在の現象に対して執着するとはどんな意味でしょうか?(※saṃhīrati――引き取るという意味)
Yañcāvuso, cakkhu ye ca rūpā – ubhayametaṃ paccuppannaṃ
友よ、この眼、この色、両方とも現在です。
Tasmiṃ ce paccuppanne chandarāgappaṭibaddhaṃ hoti viññāṇaṃ
この現在に対して、認識は「愛欲」で汚れる。(結ばれる・繋がる)
Chandarāgappaṭibaddhattā viññāṇassa tadabhinandati
愛欲に染まった認識はそこに喜び・愛着をおぼえる。
Tadabhinandanto paccuppannesu dhammesu saṃhīrati
愛着が起こるとは、現在に執着することです。
上記と同じく
②Sota耳とsadda声 ③ghāṇa鼻とgandha香 ④jivhā舌とrasa味 ⑤kaya身とpoṭṭhabba触 ⑥mana意とdhammā法(諸現象)
という現在の現象についても説明されます。
①眼と色 ②Sota耳とsadda声 ③ghāṇa鼻とgandha香 ④jivhā舌とrasa味 ⑤kaya身とpoṭṭhabba触 ⑥mana意とdhammā法(諸現象)という現在の現象に対して、
Tasmiṃ ce paccuppanne na chandarāgappaṭibaddhaṃ hoti viññāṇaṃ
心は愛欲を抱かない。愛欲に染まらない認識に愛着はありません。