アルボムッレ・スマナサーラ
【スマナサーラ長老に聞いてみよう!】
皆さんからのさまざまな質問に、初期仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老がブッダの智慧で答えていくコーナーです。日々の生活にブッダの智慧を取り入れていきましょう。今日のテーマは「肉体への不安は観察することで薄れていく」です。
[Q]
ヴィパッサナー実践で、各自の課題が自動的に現れてくるのだと、また課題に合わせてヴィパッサナー実践も自動的に進んでいくとお聞きしました。心が清らかになるのに時間がかかるのは当たり前だと思い、コツコツと実践を続けるのが一番の道でしょうか? 私には持病があり、肉体はかなりガタが来ています。実践を続けていれば、ある日突然に死ぬことがあっても心配はいらないのでしょうか?
[A]
■肉体が壊れていくより先に心を治療する
ヴィパッサナー実践を続けているのであれば、いつ死のうと心配はいりません。ボロボロになった肉体のことなど気にすることなく、実況中継に励んでください。自分の肉体の状態、特に今、起きている感覚(感受)に気づくようにしてください。例えば現れた感覚に欲が絡むとすごく苦しむとか、「もっと健康になりたい/治って欲しい」という期待や希望が入るとかなり苦しみます。あるいは「他の人ではなく、なぜ私だけがこんなに苦しむのか」と考えてしまうと、酷く苦しむことになります。全て妄想によって余計に増やした苦しみです。
ヴィパッサナー実践は妄想をやめて現状起きていることを実況中継します。今ある現象を観察するのです。そうすることで、心は早く治ります。心が清らかになります。病気は治りません。肉体は壊れていくもので、潔く捨てるしかないのです。肉体に執着しない、という心の状態を作るよう実況中継を続けることがあなたの仕事です。
■出典 『それならブッダにきいてみよう: 瞑想実践編4』
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